不明の限界
見慣れた食卓を
見たばかりの朝のように
思い出す。
朝は淡い緑色の汐くさい光線を
カーテンだけがやんわりと
認めてくれる。
あなたが置いていっただろう
優しさはありふれていて
見慣れていて、
飽き飽きするだろうけれど
そういう凡庸さこそ
わたしには不可欠なのだと、
それは見慣れた食卓を
飽き飽きする気分と
大きく違うことはない。
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忘れること。
今らしき瞬間までの
ことを忘れるていた。
意図して忘れて、
無くなっておくことを願っていた。
岬の先の霧に問いかける、
ありきたりの食卓の存在を。
醤油はやや固まり、
唐辛子の瓶は少し曇っている。
食べきれない目玉焼きは
不健康な瞑想をしたまま、
「不安」をつぶやく。
ときおりくる忘却のための血流の冷たさのために
高い高い岬の先から飛び込む。
あなたとあなたと、またまたあなた。
あなたがたのためにする、
平凡な優しさで進行していく。
ラベル: POEM